不動産登記実務の流れ/その②-2(見積り編ー注意点)

見積もりするときに注意しておいた方がいいポイントの前回から続きです。

注意ポイント⑤

・住所(氏名)変更登記は必要ない?

 売主様の売買契約書等に記載されている住所地(氏名)と全部事項証明書の所有者欄に記載されている住所地(氏名)に相違がある場合、買主様への所有権移転登記の前提として「登記名義人表示変更登記」の用意が必要な可能性があります。これを忘れると登記が取り下げられてしまうなどの問題が発生し司法書士として重要な責任問題に発展する可能性がありますので十分にご注意ください。(名変コワイ、マジデ)

注意ポイント⑥

・担保権の抹消登記は必要ない?

 全部事項証明書の権利部乙区に抵当権設定登記が残っている場合は、買主様への所有権移転登記の前提として「抵当権抹消登記」をする必要があります。担保権等の負担がない状態で買主様へ権利を移転する必要がありますので、見積の段階で見落とさないように気を付けてください。

注意ポイント⑦

・全部事項証明書に「買戻特約」や「差押」の登記は入っていない?

 滞納処分による差押えや、買戻し特約などの登記も要チェックポイントです。差押え権者との調整や、買戻し権者への特約抹消手続き依頼など案件ごとに種々の手続きが必要になります。それなりの日数が必要な場合もあるので取引日までの日数との兼ね合いなども注意する必要があります。

注意ポイント⑧

・不動産評価証明書に物件漏れや記載の違いはない?

 京都では特に道路持分の非課税部分が評価証明書上に記載されないことがあります。この場合は近傍宅地の評価を使用して(平米×0.3)登録免許税を算出する事になりますが、非課税なので載っていないのか、道路部分を請求し忘れなのかを確認する必要があります。

 また、建物について評価証明書記載の平米数と全部事項証明書記載の平米数が大きく異なっていることもあります。例えば増改築等によってずれている場合はその部分は登録免許税を別途計算する必要がありますし、特殊なケースであれば「土地家屋調査士」にお願いして調査票を取得する必要もあります。

 当たり前にはなりますが、評価証明書がそもそも本年度のものかどうか確認しておくことも大切です。見積もり後、登記申請日までに年度を越えるといった場合もありますので、新年度分の用意をお願いしておくことや、金額に訂正が入るかもしれない旨なども伝えておく必要があるでしょう。

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