仙人/芥川龍之介

権助という仙人になりたいという若者がおり、万(よろず)紹介所で「仙人になれる奉公先をおしえてくれ」と尋ねた。

「そんなものあるわけないじゃないか」という番頭に対して「万紹介というならばなんでも紹介できるはずじゃないのか?おたくは表の看板に嘘を掲げているのか?」いう権助に対し反論することができなくなった番頭は、「では明日までに探しておくから明日またお越しください」と告げた。

困った番頭はとりあえず医者のところに行き「仙人になる修行をするにはどこに奉公するべきでしょうか?」と聞いてみた。

尋ねられた医者も困ってしまったが、古狐とあだ名されるその医者の嫁が「うちに来て働けば必ず仙人になれる方法を教えてやれる」と言ったので、喜んだ番頭はそのこと権助に教えた。

翌日医者を訪ねてきた権助に対して古狐は、

「20年間タダ働きをすれば必ず仙人になれる方法を教えてやる」

と告げ、それを了承した権助は無一文の給金で20年間タダ働きをすることになる。

20年が経過し権助が医者に

「仙人になれる方法をお教えください」と詰め寄ると、

古狐が「これから私のいう通りに動きなさい。できないとか無理だとか言うようならまた20年間の修行(タダ働き)が必要になるよ」と言った。

古狐は「まずそこの庭にある松の木に登りなさい」

「もっと高く、上まで登りなさい」

「そこで右手を離しなさい」

と行った。

さらに、

「左手も離しなさい」と古狐が言った時に、

「松の樹のてっぺんで両手を離してしまったら真っ逆さまに落下して下にある岩に打ち付けられて死んでしまう」と医者が注意する。

しかし古狐はかまわずに再び

「左手も離しなさい」と言った。

権助は思い切って左手も離した。

そのとき権助の体は松の木から離れ落下するかと思われたが、離れただけで落下せずその中空で漂っていた。

権助は「これでようやく一人前の仙人になれました」と告げ青空を高く高く登っていった。

医者の嫁である古狐は無理難題を押し付ける事によって相手のせいにしてタダ働きをさせ続けられると期待し権助を引き取ったはずだが、古狐の想定通りにいかず権助は実際に仙人なって何処かに行ってしまったってゆうお話でした。

なんだそれは!!

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