羊をめぐる冒険/村上春樹
あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出ていった。耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガールフレンドとなった。北海道に渡ったらしい「鼠」の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。(上巻裏表紙より)
美しい耳の彼女とともに、星型の斑紋を背中に持っていると言う一頭の羊と「鼠」の行方を追って、北海道お口の牧場にたどり着いた僕を、恐ろしい事実が待ち受けていた。(下巻裏表紙より)
鼠小説三部作最終作品
僕は翻訳事務所の女性スタッフと結婚しておりそして離婚する。
翻訳事務所は広告業界にまで手を広げて躍進しており、その仕事の中で鼠から送られてきた北海道の山と羊の写った写真を使用したことから物語は進んでいく。
その後、耳の素敵な女性と出会い、「先生」と呼ばれる人間の組織のナンバー2である黒服の男と出会う。
黒服の男はそこに映っている羊を探せという。見つけられなければ君はお終いだと。
耳の素敵な女性に押し切られる形で北海道まで羊をめぐる冒険にでかける。
泊まっているのはいるかホテル(ドルフィンホテル)。
そこで羊博士と出会い特別な一匹の羊のことを教わる。
羊は満州から日本に移る移動手段として羊博士に憑き、そして出て行った。
その後、現在先生と呼ばれる右翼の大物に憑き、巨大な組織を作り上げた。
羊を探して僕は北海道の山奥にある小屋にたどり着く。
そこは鼠の父親所有の別荘地であり、写真に写っている場所だった。
鼠は一向に現れないが、代わりに羊男が現れる。
耳の素敵な女性はひとり山小屋を後にする。
そして羊男=鼠と接触する。
鼠はその羊に先生の次の宿主として憑りつかれた。
そして羊が眠っている間に羊もろとも自殺した。それしか方法がなかったのだと。
僕は鼠に言われたとおりに時限爆弾を作動させ時間通りに山小屋を後にする。
しばらくしたところで黒服の男に出迎えられる。
黒服の男が羊を迎えに山小屋へと向かっていった。
しばらくすると時間通りに作動した爆発の煙が、山から登っていた。
この物語は羊=悪魔と置き換えるとわかりやすい。
悪魔は満州から悪魔博士に乗り移り日本へやってくる。
そして先生にのりうつり巨大な組織を作り上げる。
先生とはどーやら鼠の父親の事のようである。
用済みとなった先生を捨てて鼠をあたらしい宿主にし、組織を継承する手はずを整えようとした。
しかし、鼠は悪魔に操られることをよしとせず悪魔もろとも自殺する。
新しい宿主である鼠を僕によって羊男から引きずり出すことに成功した黒服の男は、鼠を迎え入れさらに暗躍しようと鼠を迎えに行く。
しかし、鼠と僕によってしかけられた「お茶会=時限爆弾」によって亡き者になる。
こうして悪魔をめぐる一連の事件は片付いたということになる。
次は鼠三部作の続編といわれる「ダンス・ダンス・ダンス」へ