賢者の書/喜多川康

何の変哲もない、いつもと同じ一日が始まったはずだった。

仕事も私生活もうまくいかず、くすぶっていたアレックスの前に、不思議な少年サイードが現れる。

サイードは九人の賢者を求めて旅していて、これまでに八人の賢者と出会ってきたと語る。

サイードの旅の記録である「賢者の書」を読み始めたアレックス。

そこには、サイードの冒険譚と、賢者たちから学んだ人生に成功と幸せをもたらす教えが記されていて・・・(商品説明より)

実はアレックスこそがサイードにとっての最後の賢者であり、アレックスが賢者の書を読み抱いた感情や感謝などをサイードに伝えたことによりサイードは最後の教えを受けたという事に気づく。

また、アレックス以外の八人の賢者についても自らが賢者と名乗ったわけでもなんでもなく、自身がサイードに自身の教えを伝えるものとして選ばれたことによってその使命を全うしただけに過ぎなかったのだろうということが、アレックスの後日談より垣間見える。

そして、最後の賢者であるアレックスから最高の賢者であると認められたサイードは、賢者の書を最後の賢者であるアレックスに渡し賢者を求める自身の旅を終了したことを認識する。

後日、アレックスの手元にある賢者の書に「最後の賢者は最初の賢者となる」という言葉を発見し、自身の息子へ賢者の書を渡す決意をする。という物語になっています。

それぞれの賢者の教えとしては、

①行動せよ:人生においては経験を得るために多くの行動を起こすことが必要である。そして行動の結果返ってきたもの(パズルのピース)は、その人の人生において必要な物であり必要な経験である。完成した自身の人生を振り返ればそのことに気づけるはずだが、ピースを手にした段階では人はそれを必要な物(成功)と不必要な物(失敗)に分別してしまう。

②可能性を信じる:宇宙は無限である。それとおなじぐらい人の「心」というものは無限大である。人がウガウガ(原始時代)の頃より現在に至るまでの過程において、その無限の可能性を信じて行動してきたからこそ今の技術・知識が存在している。自分自身もその人間の一人なのだから、不可能だと思えるようなビジョンについてもそれを実現する無限の可能性があることを自覚しましょう。

③自尊心と他尊信:人生を幸福にするためには、自身がかけがえのないものであり唯一無二のものであるという自尊心を高く保つ必要がある。しかし、同時に他の人も同時に同じ存在なのだということを認識し、高めた自尊心と同じ高さまで「他尊信」を高めなければならない。この二つが同じ高さである限りはどこまで高くしても害はなく、むしろ成功はどんどんと近いものになる。

④目標:人生における成功は、どんな職業になるかではなくどんな人になるかである。成功は職業についてくるものではなく、人についてくるものだからである。

⑤今:人生というのは自分に対する一冊の伝記を完成さるようなものだ。その伝記を読む人間が、「この人であれば将来成功するに間違いないだろう」と思えるような過ごし方をまさに今この瞬間にすることが大切。必要なのは伝記の今のページであり、書いてしまった過去のページを後悔したり、書かれていない白紙のページをめくって不安になったりするようなことに、貴重な今を使ってはいけない。

⑥投資:投資とは自らの持つ財産を今は使えないものに換えて、将来大きく価値が上がるのを待つことである。人間の財産とは時間の事であり、その時間を使って金に換える行為は投資ではなく作業である。作業時間ではなくそれ以外の、何かの為にと自分で考えて働く(行動する)ということにより金の代わりにパズルのピース(経験)を得ることを投資という。

⑦幸福:幸福について人間は、「Ⅰ.自分を幸せにする事を探す人」と「Ⅱ.他人を幸せにすることを探す人」の2種類に大別される。ではどちらの人が幸せを感じやすいか?という問いについては100%他人を幸せにすることを探す人であると答えることができる。なぜなら際限のない一人の欲望を満たすことよりも、大勢の人の中の小さな欲求を満たすことのほうがはるかに簡単だからだ。単純に1対数十億なのだからいうまでもない。そして世の中の成功者は基本的に後者の人間であるという事を忘れてはいけない。

⑧言葉:人生は言葉によって作られている。そして、人が一番多く聞き影響を受けるのは自身の心の言葉である。将来には今日自分が自分に向けて使った言葉通りの人生が待っているという事になるだろう。であるならば、今日一日思ったり使ったりする言葉は、自分にとって成功者と入れるであろう者がきっと使うだろうと思えるような言葉でなければならないということだ。

⑨-1感謝:人はだれ一人、一人で生きていくことはできない。とにかくすべてに対して「ありがとう」といえる生き方をすることが、自分を含めた多くの人の人生を、素晴らしいものにする方法である。

⑨-2与える:人生においてほしいものを手に入れるためには、手に入れたいと思うものを与える側にならなければならない。単に受け取ろうとする側でいるよりも、与える側において味わえる感覚は比べ物にならないほど大きな喜びであり、感動を得ることができる。感動の多い人生は間違いなく幸せな人生であり、人に感動を充てる生き方をすることこそ、本当に感動的な生き方である。また、誰よりも多くの人感動を与えた人間こそが、誰よりも感動的な生き方をしているひとなのだ。

⑨-3誕生:人間は何度だって生まれ変わることができる。(実際に細胞レベルで考えると、人は恐ろしいスピードで新陳代謝を繰り返し生まれ変わっている。)

というような内容です。

そしてこの本で最も伝えたい事なのだろうと思われるのは、

「真に学ぶ姿勢がある者にとっては、世の中のあらゆる人が師となりうるのだ。教えた側が賢者なのではない。学んだ側が賢者だったのだ。そして最高の賢者とは、誰よりも多くの人からいろいろなことを学べる素直な心を持つ人なのだろう」

という一文に集約されているのだと感じられます。

好きな人・嫌いな人・裕福な人・貧しい人・年上・年下・etc...............

自分に学ぶ姿勢さえ整っていれば、自分以外のすべての人からは良い面として又は悪い面としてなど何かしら学ぶことが可能であり自分の言動へとそれを当てはめていくことができる。そしてそれこそが自身の望む成功へとつながっていくという事なのでしょう。

本書にて掲げられていることは、当たり前のキレイごと。

そう言ってしまえばそれまででなのでしょうが、当たり前に良いとわかっている事について困難な内容であるわけでも障害があるわけでもないのに、これらを遠ざけてしまうのはなぜなのでしょうか?ということを考えるきっかけになる書籍です。

基本的にこの著者の書籍はそういった内容が多いのですが、ビジネス書籍的ではなく物語形式で書かれているので自己啓発的な内容に拒否反応を起こしにくいのではないでしょうか。

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