山椒大夫/森鴎外

姉の「安寿」と弟の「厨子王」が母に連れられ越後から今津へと父の元へ向かう旅に出かけるところから始まる。

一行は山岡という男に騙され、母と子供達は別々の人攫いにさらわれて行く。

安寿と厨子王は丹後の「山椒大夫」という富豪に買われて奴隷として管理される生活を送る。

安寿は一計を案じ母から渡されていた「守本尊」を厨子王に渡して逃がし、それを見送った後に入水する。

京都まで逃亡に成功した厨子王が、清水寺で一夜明かした明くる朝、目をさますと一人の老人が立っていた。老人は「関白師実」と名乗り「ここに寝ている少年がよい守本尊をもっており、それを借りて拝むようにとお告げがあった」という。

厨子王は今までの経緯をのべ仏像を師実へと渡した。仏像をみた師実はそれが平氏の先祖である公明な家柄に伝えられている仏像であることに気づき、厨子王を客として迎え入れた。

厨子王はその後「正道」と名乗り関白師実から丹後の国守に任じられる。

国守として最初の仕事として正道は奴隷制度を廃止し、山椒大夫を含むすべてのものから奴隷を解放する。

また父と安寿が死亡を知り、せめて母親を探そうと佐渡に渡る。そこで盲目の女が何やら歌っているところにでくわしその歌を聞いてみると、女は「安寿恋しや、ほうやれほ。厨子王恋しやほうやれほ。」と歌っていることに気づく。

正道はすぐに女の前に駆け寄ったが、そのとき守本尊が女の額に押し当てられた。すると女の目に潤いが戻っていき、女は目を開き「厨子王!」と叫び二人は固く抱き合った。

「山椒太夫」には「さんせう太夫」というバージョンがあり、さんせう太夫のほうはいまでいうゴア表現がきつめになっている。おそらく子供が読めるように「山椒大夫」というやさしい表現のバージョンを作ったのでしょう。

「本当は怖いグリム童話」と同じニュアンス。

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